地域のイマ、とコレカラ…『第九回 とつか区民活動センター センター長 中嶋 伴子さん』
新型コロナウィルスによって戸塚の人々のイマがどのように変わったか、コレカラどうなっていくかインタビューを通じて見つめます。第9回目は、とつか区民活動センター(https://totsuka-kumin-center.jp/ )センター長の中嶋伴子(なかじま ともこ)さんです。地域の団体の拠点となっている、とつか区民活動センター。コロナ禍においても積極的に地域の為に活動をされている中嶋さんの想いを伺いました。
―とつか区民活動センターはどのような施設ですか?
中嶋 伴子(以下、略):市民の公益的な活動を応援することを目的とした施設で、横浜市では18区にそれぞれ一か所ずつ拠点が作られています。地域活動や個人のボランティア活動というのは、大きくテーマを分けると社会課題をテーマにした市民活動と生涯学習と呼ばれる文化系の活動の二つのカテゴリーで分けられると考えられているんですね。その両方を一つの施設でバックアップし、応援するために設置されているのが、区民活動センターです。他の市、例えばお隣の川崎市では生涯学習活動と市民活動の拠点は分れています。このような区民活動センターという形で、各区に両方の機能が一つになって設置されているというのは横浜市独特のものだと思います。
特徴としては、生涯学習活動をどう捉えるかという横浜市の「生涯学習を地域に還元しよう」という独特の考え方があります。例えば、ダンスや歌など、自分達が楽しく学んでいる活動を、今度はボランティア活動として地域の方々に提供していきましょうよという考え方ですね。そういった生涯学習活動と市民活動の拠点を一つにさせたという流れがあるんです。そのような人たちを育て、地域に送り出すというのが私たちのミッションの一つです。
●とつか区民活動センター(戸塚区川上町91-1モレラ東戸塚3階)
登録されている活動団体(以下、団体)は「健康・保健・福祉」や「まちづくり」、「文化・芸術・スポーツ」「子ども・青少年」などの大きなカテゴリーに分けて管理しています。今年度開催している『第11回とつかお結び広場web会場』のホームページを見ていただければよりイメージが湧くと思います。(毎年開催されている戸塚区内の地域活動を紹介するイベント。今年度はwebでの開催。こちらからご覧ください→(https://totsukaomusubi.com/)」※2020年12月2日〜2021年3月31日まで公開)現在、約400団体が登録されておりますが、その団体を戸塚区内の他施設に繋ぐことで、活動を拡げるきっかけを作ることも必要です。そのためにも、戸塚区内の施設間連携事業として人と人を繋いだり、人と施設を繋いだりというのも私たちの役割の一つですね。
●2020年12月2日~6日まで戸塚区総合庁舎3階に展示されていた『とつかお結び広場』の活動紹介パネル展の様子。
―さくらプラザも「戸塚区地域施設間連携促進事業」(※1)ではお世話になっています。さくらプラザに関してはどのようなことを期待されておられますか?
さくらプラザは施設の設備がとても整っていますよね。音楽をやるのであれば練習室や、素敵なホールもありますし。ここからは個人的な考えですが、戸塚区内の小学校は音楽教育が盛んで、地元の小学校の合唱コンクールもとてもクオリティが高いんですよ。是非若い子たちの育成のために場所や環境などを提供したり、その子たちが音楽の楽しみを大人になっても続けていけるようなバックアップをしていただけたりするとすごくいいなと思います。ホールの規模などもあるとは思いますが、周辺の学校の合唱コンクールや音楽の発表の舞台は、意外と横須賀や大船のホールを借りることが多くて、親も足を延ばして観に行かなければいけません。さくらプラザは合唱には少しスペースが狭いのかもしれないですが、アクセスの点でも親は嬉しいと思うので、どんどん売り込んで是非やっていただきたいです(笑)。
※1「戸塚区地域施設間連携促進事業」…戸塚区にある公共施設の連携促進のための事業。毎年、とつか区民活動センターを中心に開催されている。
●戸塚区地域施設間連携促進事業の研修の様子。
―新型コロナウィルスの影響でどのような変化がありましたか?
緊急事態宣言が出たころに施設は一度閉鎖され、スタッフもリモートワークに切り替えました。と言っても一名は必ず施設に待機をして、利用者からのお問合せは電話とメールで、今までと同じ時間で対応をしていました。
慣れないリモートワークでしたがメリットもあって、今年度の事業担当が、既に予定していた事業を見直すというミッションにじっくり向き合うことができました。コロナで中止なのか、開催できるのか、開催するとしたらどうするのかということを担当者全員が考えたんです。その時間が良かったですね。とつかお結び広場の企画もリモートで打ち合わせして、どんどん良いアイデアが出て、自分たちでもこれならできるというところまで検討でき、自粛期間は私たちにとって有効な時間でもありました。本当にスタッフ皆が前向きで明るいので、こうしようああしようというアイデアが出てきて、普段から団体の皆さんからたくさんエネルギーをいただいているんだと思います。
また、スタッフがリモートで会議を行うためにオンライン会議を取り入れました。4月に入った時点で、まずはスタッフ全員がZOOMを使えるようにしました。その時、スタッフ用にZOOMの使い方をまとめたテキストを作ったんです。このテキストは、私たちでも使えれば団体も使っていただくことができるだろうと、作った時から団体に提供しようと考えていました。6月には実際に提供し始めまして、これまで対面しないと会議ができなかった団体からも「なんとかZOOMで会議ができるようになった」というお声もいただくようになりました。
●とつか区民活動センター作成の「ZOOMテキスト」
これもコロナ禍で行った工夫なんですが、毎年団体に集まっていただき行っている『利用者意見交換会』を今回は書面での意見交換会(書面アンケートの結果はこちら→(https://totsuka-k-center.sakura.ne.jp/blog/archives/1600))としました。登録団体と個人の方にアンケートを取ったところ、(緊急事態宣言が発令されたときのアンケートなのですが)従来通り活動できたというところは0%、制限を受けたところは56%、活動停止は46%という結果が出ました。このようなアンケートをとって、私たちに求められている活動・支援というものをしっかり受け止めて、実際の活動ができない間を今後の事業を組み立てていく時間にあてました。特に「ZOOMなどのIT講座に興味ありますか」という設問では、興味ありが68%と、これだけ興味ある人がいるということがわかりました。この結果を踏まえて、来年度に向けてIT利用をテーマとした活動の推進にますます力を入れていこうと思っています。
―IT関連の講座は嬉しいでしょうし、ZOOMの使い方を紙で共有していただけたのは皆さん安心されたかと思います。
ZOOMの使い方はインターネットを調べるといくらでも出てくるんですが、インターネットで調べながらパソコンを使うって意外と難しいですよね。紙で読みながらやるというのが、年齢層的にも良かったかと思います。コロナの中で私たちが困っていることは、きっと団体も困っているだろうと考えておりますので、私たちの知識とか工夫をシェアして皆さんにも使ってもらいたいですね。
今回のコロナ禍で最初に思ったのは、「お互い辛いね」とか、「大変ですよね」という気持ちを共感することの大事さです。私たちは団体に寄り添ってもらいましたし、私たちも団体の気持ちに寄り添おうと努力しました。そこからスタートしたのが今年度でしたね。その次にコロナ禍で得られた知識や気づきをシェアして、皆に役立つ情報を共有していきました。活動を再開するためにも、このような一歩一歩はしばらく続いていくんでしょうね。
―「私たちが困っていることは、きっと団体も困っている」というのは素敵なマインドですね。団体と施設の絆も深くなっていきますし、今回のことがすごくプラスになると感じました。
この絆が今後の活動に役立つと信じているということと、コロナ対策の観点からも重要だと考えています。対策と言っても100%の対策はないじゃないですか。100%絶対これで大丈夫ですよ、と言えない環境でご利用いただくというのは、団体と私たちのお互いが創意工夫をしながら一緒に対策していかなければいけないですよね。その点については団体の皆さんにも理解を促しました。「皆さんも協力してください、私たちも精一杯やっているけど皆さんも知恵を絞って対策していきましょう」と訴えるのは大事だと思います。私たちも県や市のガイドラインをベースに、さらに上乗せして”私たちはここまで考えています”というのを具体的に検証した上、さらにこれを一緒に守っていただいて、気がつくところは団体ももっとやってくださいとお願いをしながら運営しています。その結果お掃除なども協力してくださるので、日々絆を深めることは大切ですね。
(取材・文:小野 良)
取材日:2020年11月27日