HOME > さくらプラザ 地域連携 > 地域のイマ、とコレカラ… > 地域のイマ、とコレカラ…『第二十六回 株式会社エフエム戸塚 営業・イベント部 部長 藤芳 祥子さん』

地域のイマ、とコレカラ…『第二十六回 株式会社エフエム戸塚 営業・イベント部 部長 藤芳 祥子さん』

新型コロナウイルスによって戸塚の人々のイマがどのように変わったか、コレカラどうなっていくかインタビューを通じて見つめます。第26回目は株式会社エフエム戸塚 営業・イベント部 部長 藤芳 祥子さんにインタビューを行いました。地域密着型のコミュニティ放送局「エフエム戸塚」。コロナで大変な中だからこそ感じることのできた温かいエピソードをお話しいただきました。 

 

                          藤芳 祥子さん

―株式会社エフエム戸塚のこれまでの歴史を教えてください。

 藤芳 祥子(以下、略):2009年4月29日にコミュニティ放送局「エフエム戸塚」を東戸塚駅西口に開局し、同年11月27日、サクラス戸塚にサテライトスタジオを設置しました。翌2010年10月10日、サイマルラジオ(※1)に加盟し、インターネットでの聴取が可能となり、さらに翌年の2011年9月、エフエム戸塚のキャラクター「さくらとっとちゃん」が誕生しました。お陰様で、今では地元に根差したエフエム局として認知度も上がりました。

 

サイマルラジオ(※1)・・・全国のコミュニティエフエム局の放送をインターネットで配信するウェブサイト。

 

 

        ●エフエム戸塚キャラクター さくらとっとちゃん

―株式会社エフエム戸塚の主な活動内容を教えてください。

放送事業とイベント事業がメインの柱です。戸塚区にコミュニティエフエム局を設立した大きな理由は、「魅力ある街づくりの実現」と「災害に強い街づくりの実現」です。「魅力ある街づくりの実現」のために、地域密着の情報をリスナーにタイムリーにお届けし、各種イベントを通じて、地元を盛り上げるよう日々活動しています。「災害に強い街づくりの実現」としては、戸塚区との防災協定を締結、戸塚区・泉区・栄区との「相互協力に関する協定」を結んでいます。平常時には区政、消防・警察等やイベント情報などを発信し、災害発生時には初動体制・注意喚起等、地域の皆様に有益な情報を速やかに提供できる体制を取っています。

―新型コロナウィルスの影響でどのように日常、活動が変化されていますか?

他の会社では「出社を控える」、「リモートにする」などというお話を多く聞きました。しかし、放送を行うにはスタジオでの作業が欠かせないため、リモート勤務や時差出勤に変更した時期はありましたが、コロナ前と変わらず出社していました。ただ、スタジオは広い空間では無いため、密を避けるために番組ゲストは電話での出演に変更しました。同様に大勢での集まりを避けるため、パーソナリティや番組審議会等はインターネット会議に変更しました。放送局ということもあり、インターネット環境は整っていましたので、比較的すんなりと移行することができたと思います。

エフエム戸塚のスタジオ横には会議やワークショップ、展示会などに使えるレンタルスペースがあるのですが、感染症対策として飲食禁止や利用人数の制限、除菌用品の設置、換気の励行等を徹底しました。

―新型コロナウィルスの影響で困ったことはなんでしょうか?

放送事業は電話やインターネットの利用で安全を確保しつつ継続できましたが、もう一本の柱であるイベント事業が開催できなくなった点です。イベントから得ていた収益は全体の収益割合の中では比較的大きいので、そこがゼロになってしまったのは非常に厳しかったです。ただ、番組のスポンサー様も含め地元の企業や商店も皆厳しい状況は変わらないので、今の時期は地域の方々との繋がりを維持することを優先して活動しています。

併設のレンタルスペースも、感染防止のために利用条件を厳しくしたため、実際の利用がかなり落ち込んでいます。

―コロナ禍においても、ポジティブな効果やエピソードがありましたらお聞かせください。

コロナ禍ならではの放送エピソードがあります。

毎年開催していた地元の学校式典の多くがコロナの影響で開催できなくなり、コロナが少し落ち着いて、ようやく式典が開催できる年には、前年の最上級生は式典ができないまま既に卒業してしまっている状況でした。そこで、その卒業生たちに向けた先生からの応援メッセージを集めて放送したことがありました。メッセージが実際に放送された時はとても感動しましたね。

 

コロナ禍の初期は全てのイベントが中止となりましたが、2021年10月にコロナが少し落ち着いた際に、再開イベント第1弾として「第5回モレラ東戸塚ダンスコンテスト」を実施しました。感染者を出さないよう、スタッフ・出演者全員が抗原検査を実施し、万全の体制で臨みました。イベントが進行していく中で、ダンスの披露を終えた子どもたちが皆、スタッフに対して「開催してくれてありがとうございました」と感謝の言葉を伝えてくれました。子どもたちはコロナ禍でダンスの練習もままならず、発表の場も失ってしまい、このイベントを本当に楽しみにしてくれていたのが分かりました。こういった想いの詰まった感謝の言葉と分かると感動もひとしおです。コロナ禍での初の再開イベントとして、本当に緊張を強いられるものでしたが、この言葉をもらえたことで、開催してよかったと心から感じました。

2022年4月に開催した「エフエム戸塚 開局13周年記念イベント」に出演していただいた横浜市立平戸中学校、神奈川県立光陵高等学校の吹奏楽部の皆さんも、ダンスの子どもたちと同様、練習も披露する場も失ってしまっていたため、イベントでは本当に生き生きと演奏を楽しみ、指揮者兼顧問の先生は演奏後に涙を流されるほどでした。これにはさすがにこちらも、もらい泣きしてしまいましたね。

今の子どもたちは、部活動や修学旅行といった、その時にしか味わえない大事なイベントを奪われてしまっています。私たち大人には想像もできない状況です。こういった子どもたちに披露の場を提供できるよう、これからも最大限安全に配慮してイベントを実施していきたいですね。

 

 

●エフエム戸塚 開局13周年記念イベントより 横浜市立平戸中学校・吹奏楽部の演奏の様子

 

●エフエム戸塚 開局13周年記念イベントより 横浜消防音楽隊の演奏の様子

 

コロナ以前は当たり前であった、スタジオに集って話をする放送の楽しさ。この「普通」を楽しみにしている人がたくさんいることにもコロナで気づかされました。コロナ禍では、番組ゲストにスタジオにお越しいただくことができませんでしたが、コロナが少し落ち着いてきたころに人数制限をかけてゲスト出演を再開した際、ゲストの皆様がとても張り切ってスタジオにお越しいただき、楽しくお話しをされる姿を見ることで、これまで当たり前であったことが、実は皆様が心待ちにしてくれていたことを実感することができました。また、番組ゲストの方や、地域の方からの温かいお言葉を多くいただく機会が増え、地元の方々に必要とされていることを再認識することができました。 コロナ禍における放送体制の変化が、災害時における放送を具体的に意識するきっかけになった一面もあります。コロナ以前は、パーソナリティとゲストが集うという放送体制が主体でしたが、コロナ禍以降は、電話やインターネットなど様々な手段を用いて放送することを経験したことで、災害発生時にどういったツールを用いて情報発信できるのかを具体的にイメージすることができたのは、「災害に強い街づくりの実現」を目指すエフエム戸塚にとってプラスのスキルになったと思っています。

―新型コロナウィルスの終息後に新しく始めたい活動はありますか?

新しい活動ではありませんが、徐々にイベントを再開できる状況になりつつあるので、安全第一でコロナ前の状態に戻していきたいです。2022年8月6日(土)には「第7回モレラ東戸塚カラオケコンテスト」、9月17日(土)には「第8回モレラ東戸塚チャリティープロレス」、11月5日(土)・6日(日)には、エフエム戸塚にとって初めてのペットイベントである「第1回わんわんモレランド」を計画しています。これらのイベントを成功させるため、今から着々と準備を進めています。

新たな活動としては、エフエム戸塚では2022年1月からサポートメンバーの募集を開始しました。地域に根差すコミュニティ放送局「エフエム戸塚」を皆様に応援していただき、一緒に地域に貢献しようという企画です。

まだイベントの開催には至っていませんが、今後はサポートメンバーと一緒にボランティア活動をする地域貢献イベントの開催や、サポートメンバーとスタッフの意見交流の場の創出、イベントや意見を放送にフィードバックするなどして、多くの面で地域の皆様と楽しめる企画を発信したいと考えています。

また、エフエム戸塚は地元の町内会イベントの取材と発信も大切にしています。この地域はもともと町内会のイベントが盛んにおこなわれていて、夏祭りや凧揚げ、餅つきといったような多くのイベントを年間通して実施しています。2022年はコロナ感染を考慮して8月まで町内会イベントの中止を決定している地区が多いようですが、再開後はまたこういった地元に根差したイベントの取材と放送を大事に扱っていきたいです。

 

 

                        ●エフエム戸塚スタジオの放送ブース

―さくらプラザや、文化芸術に求めるものはなんでしょうか?

これまでも、エフエム戸塚の番組「戸塚井戸端会議。」火曜日パーソナリティのピアニスト松村優吾さんが2022年2月の「さくらプラザ 春の芸術祭2022」に出演したり、さくらプラザ特待生の方が番組出演してくださったりと、お互い関係を築いてきました。コロナ禍では、地元のアーティストたちの演奏をさくらプラザ・ホールで収録し、エフエム戸塚で放送、ゲスト出演というコラボ企画も行い、地域ならではの連携がとれました。これからも、より地域の活性化に繋がるイベントを一緒に作っていけると嬉しいですね。たとえば、戸塚出身の演奏家をフィーチャーした公演をさくらプラザが実施して、エフエム戸塚が取材、放送し、次の機会にはその演奏家にエフエム戸塚のイベントに出演していただいたりできると、多くの人に芸術に触れていただく機会ができて良いですね。「地元にこんなすごい人がいるんだ」と若い人に感じてもらえれば地元愛も深まりますし、芸術に関する将来の夢を持つ子どもも増えると思います。

 

あと、文化芸術の中でも「音楽」というジャンルに関しては、子どもたちも比較的触れる機会が多いので、音楽以外の文化活動、例えば絵画などに接して興味を持ってもらえる機会を作っていただけると嬉しいですね。例えば大人と子どもが気軽に楽しめる絵画のワークショップを開催するとか。

子どもたちに文化芸術の楽しさを感じてもらうために、今の子どもたちの興味や、時代に合ったイベント、発信方法などを一緒に模索していけると良いですね。

 

※掲載内容は2022年6月のインタビュー時のものです。

(写真:株式会社エフエム戸塚様提供/取材・文:勝間田 努)

 

エフエム戸塚の放送はいつでもどこでも、専用アプリでも聴取できます。

アプリのダウンロードの方法はエフエム戸塚webサイトをご覧ください。

戸塚区民文化センター さくらプラザ