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地域のイマ、とコレカラ…『第二十回 フォト夢とつか 代表 村瀬 好彦さん』

新型コロナウイルスによって戸塚の人々のイマがどのように変わったか、コレカラどうなっていくかインタビューを通じて見つめます。第20回目は2022年3月1日(火)〜7日(月)に区民企画事業として「みんなの写真展」を開催予定のフォト夢とつか 代表 村瀬 好彦さんです。昨年はコロナ禍により活動ができなかったという村瀬さん。現在の状況と、これからの課題について伺いました。 


※2022年3月1日(火)〜7日(月)開催予定でした「みんなの写真展」は主催者都合により中止となりました。(2022年1月24日)

 

―フォト夢とつかの成り立ちについて教えてください。

村瀬 好彦(以下、略):フォト夢とつかは戸塚区制70周年記念の際に戸塚区が行った『夢結び応援事業』をきっかけにスタートしました。「戸塚の街に写真文化を広めよう、みんなで交流しよう」という思いから、戸塚区の周辺にあったいくつかの写真クラブから13名程集まりました。当時は色々な資料を作って、区に申請して……と大変でしたね。はじめの10年間は戸塚区から資金的な補助も出ていましたが、それ以降は自分たちで運営をしております。現在では、毎年さくらプラザ・ギャラリーで開催している公募展『みんなの写真展』の他、コロナ禍以前は会員が講師となって初心者向け・ベテラン向けにそれぞれ行う『デジカメ講座』やプロの写真家を招いての写真講座といった講座企画、『日帰りバス撮影研修会』などの企画も行っています。

―村瀬さんが写真を始められたきっかけはなんですか?

勤めていた会社を定年退職し、これからは何か好きなことをやっていきたいと考えたことがきっかけでした。もともと子どもの写真撮影用にニコンのカメラを持っていたのですが、調べたらニコンがカメラ教室をやっていたんです。そこの教室に何回か通うようになって、レンズや三脚などの機材も欲しくなって……という流れでした。私は今年77歳ですので体調のこともあり、また今はコロナのこともあるので、あまり外に撮影も行けないのですが、以前は冬になったら毎年北海道に行って撮影をするなどして楽しんでいました。

 

●村瀬さんの作品『雪中の枯木』(日本写真作家協会 公募展入選)

 

●同じく村瀬さんの作品『一本松』(日本写真連盟 公募展入選)

―戸塚は写真が好きな方が多いイメージがあります。

私たちはこれまで写真文化を広め、交流しようと努力してきました。この努力も理由の一つではないかと思っています。先ほどの『デジカメ講座』もその一環ですが、とにかく初心者には「写真文化に浸ってもらおう、写真の楽しさを知ってもらおう」、それからベテランは「より良い写真を撮れるようになろう」と写真教室を開催してきました。教室を受けただけで終わってしまうのはもったいないので、教室が終わった際に私が「どうですか皆さんも、せっかく一緒になったんだから、同好会のように写真クラブでも作られたらどうですか?」と勧めてきたんです。その成果か、写真クラブがいくつもできました。それをきっかけに今も続いているところも多いですよ。

 

●2013年に箱根長安寺で行われたバス撮影研修会の時の集合写真

―『みんなの写真展』は戸塚川柳協会さんとのコラボも面白いですね!どのようなきっかけで始められたのですか?

私と前の代表で写真と川柳がコラボするのはどうかという話が出たんです。川柳協会さんにもその話をしたところ「いいね」と言ってくださいました。

今は、公募した写真を川柳協会さんにもお渡しして、その写真を見て川柳を詠んでもらう、という方法をとっています。川柳協会さんも地域の先生がいくつか教室を持っているので、そこで何人かがみんなで詠むんです。川柳っていうのは素直に写真を見て詠んだものでなくて、ちょっとひねったような作品の方が面白いんですよね。おかげ様で『みんなの写真展』でも人気を博しています。

 

●平成30年『フォト川柳部門 最優秀コラボ賞』受賞作品

ーコロナ禍での活動はいかがでしたか?

コロナ禍の始まったころの2020年の3月の『みんなの写真展』は、私も「やるぞ……!」と発破をかけて、ギリギリ開催できたのですが、昨年度は展覧会も撮影会も何もできませんでした。今年度も状況はわかりませんでしたが、『みんなの写真展』と12月に羽田空港での撮影会を開催しようと計画していたんです。ですが、9月に感染者数がものすごく増えたこともあって撮影会は中止にすることにしました。『みんなの写真展』をどうするかも非常に悩みました。フォト夢とつかでは月例会を毎月1度やっているのですが、11月の月例会の際に私が全員の意見を聞きながら、3月は開催しようと決断しました。審査員をプロの方に頼んでいたり、川柳協会さんとのコラボのこともあるので、ギリギリの決断だったと思います。それでも今後の感染状況によっては、開催できるのかはわからないのですが……。

ーコロナ禍を踏まえて、現在の課題はありますか?

特に今はコロナのこともあり、新しい参加者が非常に少なくなってきていると感じます。例えば、写真撮影会をやっても新しい人というよりも、割と経験のある人が集まるんです。それはスマートフォンの普及も理由の一つだと思っています。カメラではなく、スマートフォンで気軽に撮るという文化に変わってきているなと感じます。それでは、どうやって新しい参加者を発掘するか、参加してもらうにはどうすればいいのかを考えるのがこれからの課題ですね。最近のスマートフォンはズーム機能もあったりするので、この使い方をフォト夢の中で研究したり、メンバーが知識をつけて利用できるようになったりしていけば、より新たな方々が参加してくれると思うので、みんなで議論していかなくてはならないです。私もそういう問題提起はしています。もう少しコロナが落ち着けばより検討できるんですけどね……。

 

最近だとスマートフォンで写真も撮れてSNSで写真の観賞会みたいなこともできるので、どこかの場所に行って友人や仲間たちの作品を観る機会がなくなってきているなと感じます。プロの写真家の方のお話を聞いていても、同じような現象が起きているなと思いました。その方は鎌倉で40年近く写真を撮り続けており、最近も写真展をやっていらっしゃいました。繋がりの広い方なので沢山の方がいらっしゃるのですが、若い方は多くないですね。そういった交流自体が少なくなってしまったと思います。であれば、それに合った我々の活動を考えなくちゃいけないなと思うんです。スマートフォンを利用した写真とかもその一つですよね。ただ、我々はスマートフォンで撮影する機会はあまりないので、その辺のノウハウ作りをどうしていくのか考えないといけないです。

ー「区民企画事業」への参加はいかがですか?また、今後さくらプラザに求めること、特に課題として上げられた「新しい世代を取り込む」ことについて求めること教えてください。

我々の活動は“場所”がないと成立しませんので、さくらプラザのギャラリーが使えるのは助かっています。やはり我々にとっても来場していただく方にとっても便利なので、ここが一番だと思っています。あとは会議をやるようなスペースがあるといいんですけどね。

 

「新しい世代を取り込む」ことについては、写真クラブでないところとのタイアップを考えたりできるかもしれませんね。そうすると交流が拡がりますでしょ?戸塚区でも公募に参加する団体は年に1回年度末に集まって交流する機会があるんですよ。そこでどういう活動をしているかPRして、タイアップできればそこからやっていこうという形です。我々でも他の団体に倣ってチラシに協賛広告をいただくようにするなど、他団体のやり方も参考にできるので、良い機会となりました。

あとはギャラリーでガラクタ市みたいなことができれば面白いと思います。制限がいろいろあるかと思いますが、こういうところも広げられると良いなと思います。

 

※掲載内容は2021年11月のインタビュー時のものです。

(取材・文 小野 良)

戸塚区民文化センター さくらプラザ